わたし達について

 わたし達は、瀬戸内海にある岡山県笠岡市真鍋島でにんにくの栽培と加工をしております。67才から81才までの高齢者による事業で、もともと島にはなかったにんにくの栽培に力を入れたこともあって、「真鍋島にんにく栽培研究会」と名付けました。

 零細農家の集まりで、にんにく栽培を試行的に始めたのは10年程前ですが、多くは耕作を放棄して荒れた山畑を借り受けて、開墾することから始めなければなりませんでした。

 わたし達が作るにんにくは、山口県の日本海沖にある離島で栽培されていたものを原種にしています。味には定評があるのですが、栽培するのに多くの手間がかかり、機械化による大量生産が難しいこともあって、一般の市場には殆ど出回っていません。

 真鍋島の山畑は、急傾斜で粘土質の耕作困難な土壌です。教科書では栽培を回避すべき畑になりますが、しかしある時、にんにくもまた、中央アジアの荒れ地で生育していた植物だと知りました。

 厳しい環境の中で生きる力を引き出すのがこの作物の本質なのだと気づいたとき、わたし達の畑とこのにんにくの宿命的とも言えるようなつながりが見えてきました。
 
 2014年から、わたし達は自分が栽培したにんにくの加工に取り組んでいます。全くの手さぐりで、人の話を聞いたり本に書いてあったことを真似て、それらしきものを作って、しかしみんなで有頂天になって喜び合ったりもしたのですが、もちろん商品は売れませんでした。
 
 しかし、ヘコたれませんでした。この事業はわたし達高齢の零細農家の「最後の華やぎ」を求める事業だったからです。

 わたし達が「真鍋島赤にんにく」と名付けたにんにくの特長は、抜群の辛さと他の品種よりも糖度が高いことです。辛さは味の深さに、糖度はおいしさにつながりますが、にんにく加工の要諦は、こうした辛さと甘さを引き出す加減に尽きます。
 
 加工を続けていると、毎年新しい発見が生まれます。そういう意味ではいつも未完の商品をお売りすることになるのですが、わたし達も商品も、成長を続けたいと願っております。

 真鍋島にんにく栽培研究会
 代表 関東治樹